..シナリオ
...導入

「おや、目を覚ましたかネ? 随分と早イ。気分はドウダい?」

;選択肢
;よい
;わるい

;よい
……答えようとして、声がまったくでないことに気がついた。
とりあえず、首を縦に振る。

「オヤ、思いの外適正が高かったのかもしれないネ」

;わるい
……答えようとして、声がまったくでないことに気がついた。
とりあえず、首を横に振る。

「そうカ。マ、そのウチ安定するサ。ン?安定しなかったら?
ハハ、ソリャ崩壊して死ぬだけサ!」

;合流
「サテ、これで手術は完了。
契約ハ万全に履行されたトいうわけダ」

「キミはボクに素体を提供し、ボクはキミに改造を施す。
正にwin-winの取引デ、素敵な食屍鬼が一匹できあがリ!
いやァ今回は我ながら本当にいい仕事をしたと思うヨ!」

;選択肢
;とんとんと喉を指す

「ン?アア、そうだネ。食屍鬼としての機能を移植するにあたって、
声帯が邪魔だったのでネ。取り払わせてもらったヨ」

「フフ、ナニ、そもそも食屍鬼になった時点で日常生活などおくれヤしないサ」

「それニ、キミの目的は復讐を成し遂げる為のチカラを手にいれること、ダロウ? ソノ代償として声がでないくらい、安いもんじゃアないカ?」

;選択肢
;首を傾げる
;頷く(チュートリアルなし)

;首を傾げる
「……ン? アア、なるほど。まだ実感がないカ。
キミはまだナニも口にしていない、プリミティヴな状態だからネ」

「では、そうだネ。"肉"はこちらで用意しタ。
好きなのを選びたまエ」

;肉選択、能力獲得

「サテ、どうかネ? 食屍鬼の能力、【掠奪】を実感したかネ?」

;選択肢
;頷く

「フフ、宜しイ。物分かりの良い患者は大好きサ。
マ、好きなだけ食べるトいい」

;能力選択

「アア、それトだネ」

「?」

「僕ァ実はこのアト一件、予約が入っていてネ。
アと2時間モすれバ出掛けなくてハいけなイ。マッタク面倒ダヨ」

「……」

「しかもまァ、コの客はツケばかりノとんだ不良債権でネエ。
大方、”市長”の名前を出せばなんでも通ると思ってイルんだろウガ」

「……!」

「オヤ。フフ、怖イ怖イ。ボクは貧弱なんダ、今のキミにナラ撫でられただけであっさり死んでしまうヨ。
ナニ、そう身構えなくてもイイ。ボクはそもそも≪老電梯≫カラの流レ者。大陸ノ肩書きなんゾ知ったこっちゃなイ」

「さっきも言った通リ、ボクにとっては面倒な相手サ。
むしろ、ソロソろトンズラしたいと思っていたところでネ」

「トハイエ、これまで散々世話になってきた身ダ。
出ていくニ当たっテ、礼のひとつもナシというのもどうかと思ってねエ」

「礼儀は大事サ。
取引相手ならなおのこと、互いニ敬意は払われルべきダ。
キミもそう思うだろウ?」

;選択肢
;同意する
;同意しない

;同意する
「フフ、同意見で嬉しいヨ」

;同意しない
「オヤ、そんなことはどうでもイイ。
ナルホド、そういう意見もあるかもしれないネ」

「マ、そんなわけでボクは向こうに呼び出されていル。
しかしボクは忘れっぽいのでネ。こうして住所をメモしているというわけサ」

「……」

「サテ、無駄話に付き合わせたネ。
ン?もう行くのかイ? ソウカ。……フフ、キミの幸運を祈っておくヨ」

「アア、そうだ。最後に念のタメ」

「?」

「手術前にも伝えた事ではあるがネ。
キミの体は今、ギリギリのバランスで成立していル」

「……」

「キミは食事によって能力を獲得できるガ、【掠奪】ノ使いすぎハ崩壊を早めル結果にしカならなイ。使いどこロには気を付けるべきダ」

「……」

「フフ、だからどうしたという顔だネ。マ、それもイイ」

「手術をした時点で、キミのカラダはナニもせずともあと三年持つかどうか。
最初の志通リ復讐を遂げるなり、怖じ気づいテ逃げるなり……精々スキに生きるとイイサ」

...1、襲撃

廃ビルの間をすきま風が通り抜けてゆく。
その風に乗って、微かに人の言い争う声が聞こえた。

忘れよう筈もない。
あの夜聞いた声が、確かに混じっている。

闇医者のもとで堂々と盗み見た住所は、ここで間違いないようだった。

;■

「こいつ、俺たちにまで迷惑かけやがって!」
「ひッ、ちょ、か、堪忍してェな……! オレも知らんかってん!
兄さんたちに迷惑かけるつもりなんかこれっぽっちもあれへんかったんよ、な、ホンマ、ホンマやて」
「フン。おいバケモノ。どうだ?」
「……。嘘ですね」
「だそうだが?」
「そ、そんなんそいつが嘘ついとるかもしれへんやん!」

耳をすます。

以前より圧倒的に敏感になった聴覚は、
微かな息づかいまで逃さずとらえる。

やりとりの内容に興味はない。
知りたいのは、標的がいるかどうかだけ。

(──うん。間違いない)

あの男は──

;選択肢
;訪問者側(花の如き少年)
;接待者側(口から生まれた男)

....戦闘1
;SEノック音

ぴたりと声が止まった。
しばらくして、低く押さえた囁き声が聞こえ──それから、ドアが開いた。

「……? ガキじゃねえか。
こんなところで何してやがる」

隙間から、男の怪訝そうな顔が覗く。

「……」

この男ではない。となれば、目当ての相手はこの奥か。

「おッ、おいテメエ何入ってきてやがる!
火遊びなら他所でや──!?」

ああ、煩い。
腕を掴んで追い出そうとする男を振り払う。


たったそれだけ。たったそれだけのこと。
それだけで、男は紙細工のように吹き飛んだ。

「なッ、何だッ!?」

見つけた。あの男だ。

;1戦目(鬼【オーガ】/報酬スキル:)


....花の如き少年

──血の海である。
飛び散った肉片と血とで、室内はさながら地獄の様相だった。
ぽたり、赤い雫が滴り落ちて、食屍鬼の娘の白い頬に色を点す。
一際派手にしぶいた血は、天井までをも濡らしていた。

あれは果たして誰の血であったか。

娘の標的はもとよりこの半鬼の男のみである。
その他の面々なぞ邪魔さえされなければどうでもよかった。だというのに、うろちょろとまとわりつかれたものだから、ひとりふたり巻き添えで潰してしまったような気もする。

だがまあ、それは半鬼の方も同じ。
中には仲間もいたのだろうに、こちらが【化生】と知れるや否やなりふり構わず本性を晒して大暴れしたものだから、娘が認めただけでも片手ぶんほどは男の巻き添えで死んでいる。

「くそッ……くそがッ……、」

それだけ暴れた男も、半ば首を落とされれば流石に大人しくなるものらしい。
抵抗はもはや、譫言のように繰り返される悪態のみである。

勢い余って頭をもぎ落としかけてしまったときは若干焦ったが、流石は鬼の血といったところか。恐るべき生命力であった。

だが、それもここまで。
有らん限りの力で押さえ込んだ掌の下、未だ力強く脈うつ半鬼の鼓動はゆっくりと、しかし確実に弱まりつつある。

少しばかり急いだ方がよさそうだった。
男にはまだ、問いたださねばならないことがある。

「あァ……思い出した……テメェ、■■の妹だな?」

思い出したなら話は早い。
出ない声のかわりに頷いてみせる。

そうとも、それは食屍鬼の娘の──否。
食屍鬼に成り果てた娘の、心から敬愛した兄の名である。

あの、ジャスミンの馨るうつくしい夜。
突如押し込んできたこの男どもの手で、自慢の兄は無惨に殺された。

咄嗟に娘をクローゼットに押し込む兄の機転がなければ、娘もまたその場で殺されていたことだろう。

だが、娘は生き延びた。生き延びてしまった。

響く絶叫、呻き、ジャスミンの艶やかな芳香すら塗りつぶす強い血臭、隙間から漏れ見える兄の痛ましい姿。そのすべてを焼き付けながら、娘はあの夜を越えた。

ジャスミンの花が閉じ、男たちが立ち去り、日も中天に差し掛かった頃、ようやく娘はクローゼットから這い出した。

誓ったのは復讐である。
ひとりだって逃がすものか。

そのためにも、男には他の面子がどこにいるのか吐いてもらわなくてはならない。

どこにいる、と唇を動かす。
声は出ない。それでも、大意は十分伝わるだろう。
あいつらはどこに。

「ハ……」

半鬼は嗤った。

「気づいても、いなかったたァ、……ヒヒッ、笑えるぜ」

何を。

「そもそも……あの夜、手引きをしたのは、テメェの兄貴のオトモダチさァ」
「!」

それは誰だ。
どういうことだ。
なぜ、なんの目的で。

「……!」

問いはかたちを成さない。
声を失ったことが、こんなにももどかしい。

「それは●●という方です。動機までは彼も知らないようですね」

唐突に、涼やかな少年の声がした。
声のしたほうを見る。

どこもかしこも赤く血にまみれた部屋の片隅。
壁に身を寄せるようにして、その少年はひっそりと座っていた。

「裏切るかッ! この覗き見野郎ッ!」

身を捩りながら、半鬼が吠えた。

「裏切る? まるで僕があなたたちの仲間だったかのような言葉ですね」

小首を傾げ、少年はふふ、と小さく笑みを漏らす。

「あなたの言に基づくならば、僕は道具なのでしょうに」

ぎりぎりと歯噛みする半鬼に動じた様子も見せず、少年は静かに言葉をつづけた。

その両手両足は厳重に拘束され、目元も厚い眼帯できびしく戒められている。自力で動きまわることなどまず叶うまい。
なるほど、”仲間”に対する扱いでないのは明らかだった。

「であるならば、負けたあなたから勝ったそのひとに所有権が移るのも当然のこと。違いますか?」
「いままで散々、あなたはいろんなものを力づくで奪ってきた。
同じことをされて理不尽だと言う資格はないはずです」

半鬼が吠える。
少年はものともしない。

娘は娘で、困惑していた。
”仲間”でないのはわかったが、いきなり少年が所有物と言われても困る。

「ああ、そうですよね。
突然もちものが増えたと言われても、そちらの方も困ってしまいますよね。けど、僕はあなたのお役にたてると思いますよ」

「あなたはどうやらお声が不自由な様子。
僕をお連れいただければ、あなたの声になれます。いかがでしょう?」

いかがでしょうと言われても。

もうあとは死を待つばかりとはいえ、半鬼は危険である。
完全に息絶えるまでこの男を押さえる手を放したくはなかったし、声は当然、出るはずもない。

はいもいいえも答えようがない。

第一、声のかわりになると言ったところで、少年に意思を伝えることができなければ全くの無意味ではないか。

「ええ。お手に関しては僕もそちらのほうがいいと思います。放していただく必要はありませんよ。鬼の血がどれほどやっかいかは、僕もよく知っているつもりですから。意思伝達についてはご心配なく」

まるで、心を読んだかのような言葉が返る。

「ふふ。まるで、ではありませんよ。僕はそういういきものです。
どうぞ、聞きたいこと、話したいことを思い浮かべてください」

【覚】か。

理解する。
困惑はあったが、迷ったのは一瞬だった。
そんなことより、娘には果たすべき目的がある。
それに役立つならなんだっていい。

知りたいのは奴等の居所。
兄を殺した奴等、それから、それを命じた奴等の居場所。
みんなみんな、許さない。

「では、早速。
先日あなたがその方の兄君を殺したときのお仲間と、それを命じた人物について知りたいそうです」

少年の声をかき消すように、があっと半鬼が吠える。

「気を散らそうとしたって無駄ですよ。よくご存じかとは思いますが。……なるほど、わかりました」

なにが判ったのか。

「のこりの下手人ふたりの素性、うちひとりの居場所。それから、それを彼らに命じた人物について。まあ、これについてはあなたの予想通りでしかありませんでしたが」

全部教えて。
……ああ、それから。

「おい……おい。おいちょっと待て、」

この男はもう用済みだ。

「なァ、そいつが本当のことをいってるかなん゛ッ!」

前髪を掴み、力一杯床に叩きつける。
2、3度目で、ごしゃッ、と西瓜が潰れたような感触があった。

「ああ……これでやっと、静かになった」

ぽつり、少年が呟いた。

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